時間外勤務は原則禁止

 

Ⅰ 法令上、管理職は教職員に「時間外勤務」を命じることはできません

 

1 正規の勤務時間

  学校職員の勤務時間は、1日に7時間45分、1週に38時間45分が原則。

   (法的根拠) 学校職員の勤務時間、休暇等に関する条例

  休憩時間は、1日の勤務時間が6時間を超える場合は少なくとも45分、8時間を超える場合は少なくとも1時間。

  原則として、正規の勤務時間を超えて勤務を命じることは「禁止」です。

 

2 例外的に時間外勤務を命じることができる場合(限定4項目)

  例外的に、下に掲げる場合(「限定4項目」と呼びます)に該当する場合のみ、時間外勤務を命じることができます。

  「限定4項目」

   「臨時又は緊急にやむを得ない必要があるときに限る」としたうえで、次の4つのいずれかに該当する場合

    ①生徒の実習に関する業務(校外実習など)

    ②学校行事に関する業務(修学旅行など)

    ③職員会議に関する業務

    ④非常災害の場合に必要な業務(生徒の指導に関し緊急の措置を必要とする場合その他やむを得ない場合)

   (法的根拠)

   ①「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法」(給特法)第6条

   ②「公立の義務教育諸学校等の教育職員を正規の勤務時間を超えて勤務させる場合等の基準を定める政令」(平成15年12月3日政令第484号)

 

3 時間外勤務に対する措置

 「限定4項目」に該当し時間外勤務を命じた場合は、疲労回復措置を講じなければなりません。

 「限定4項目」に該当する業務のため臨時又は緊急に休日勤務が命じられた際は、代休が与えられなければなりません。

 

 学校行事などの都合で休日や時間外の勤務を命じる際は、あらかじめ勤務の割振の変更をしなければなりません。

 

 この場合、振替日は、勤務する日を起算点とする前4週間・後8週間の期間内に設定しなければなりません。

 (法的根拠)

 ①「職員の勤務時間、休暇等に関する条例」(平成7年条例第7号)第5条、

 ②「職員の勤務時間、休暇等に関する規則」(平成7年人事委員会規則8-5)第3条

 

 【参考】「年度当初に割り振られた通常の勤務時間を超えて勤務させることが計画されている修学旅行等、宿泊を伴う教育活動については、(中略)・・・従事する教員の通常の勤務時間を変更して対応するものとする」(教員の時間外勤務の取り扱いについて)

 

  ※管理職による在校時間の把握や在校時間記録簿の記録で、正規の勤務時間以外の時間が月80時間を超える職員には、本人の希望により、医師による面接指導が実施されます。(「宮城県教育委員会における長時間の時間外労働者に対する健康管理対策実施要領」)

 

4 「部活動の指導」の扱いが課題

 ここで問題になるのが、部活動の指導をどう扱うか、です。部活動は学習指導要領に「課外活動」として定められているので、その指導が教員の仕事の一部で あることは間違いありません。しかし部活動の指導が正規の勤務時間を超えて(放課後や休日にも)行われることが常態化しており、教員の多忙化にもつながっています。

 文科省や県教育委員会は、形式上「時間外勤務は原則禁止」なので、勤務時間を超えて部活動の指導が行われているとしても、それは教 員の「ボランティア」という立場です。しかし同時に文科省や県教育委員会は、休日に4時間以上の部活動の指導を行った場合に「特殊勤務手当」を支給してい ます。また運動部の大会が休日に開催されているのも事実です。

 このような実態から、部活動の指導のための時間外勤務をどう解釈し、勤務時間や給与にどう反映していくべきかが、大きな課題となっています。

 

 

Ⅱ 組合は、多忙解消に向けて頑張っています!

 

 教職員組合は、職員の多忙化解消のため、県教委との交渉を繰り返し実施しています(2004/3/22、2005/3/22、2013/11/8)。その中で、次のような確認がなされています。

 

 ①交通安全街頭指導、校務分掌に基づくPTAの会議には、時間外勤務は命じられない

  これらは給特条例の「限定4項目」に該当しない。校長は、疲労回復措置を講じて職員に「協力をお願い」すべきこと。

 

 ②教頭・教務主任が授業を分担してもつこと

  各学校の実情に応じて、専科による授業(少人数に限らない)も含め、できるだけ授業実践にかかわるように働きかける。学級担任に「空き時間」を保障すること。

 

 ③形式の簡略化

  県教委として、各種報告書(各種会計も含む)の記入方法、形式等の簡略化について可能な限り努力する。

  県教委としては、諸表簿は公簿のみとしている。公簿以外の諸表簿の作成や提出は、市町村教委や校長の考えによる。

 

 ④指導主事訪問について(指導案の簡略化)

  指導主事の学校訪問は、訪問の形態、授業者数、あるいは授業教科等は、基本的には市町村教委の判断による。

  日程設定が午前でも午後でも市町村教委の要請であれば尊重する。

  県教委は「学校マネジメント支援に関する調査研究」に基づき「できることからはじめよう!児童生徒と向き合う時間の確保」パンフを発行(2010/3)。

 

 【参考】教育長交渉での教育長の回答(2012/11/19):「学期末の評価や初任研は基本的に勤務時間内でやるべきもの」